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薩摩屋ARTプロジェクト2013 | 小須戸ARTプロジェクト

薩摩屋ARTプロジェクト2013

事業の紹介

江戸から明治、大正にかけて信濃川の舟運で栄えた新潟市秋葉区小須戸の本町通り。地域の繁栄を物語る町屋が建ち並ぶ商店街の中ほどに位置する空き町屋「薩摩屋」を中心としたアートプロジェクトです。

プロジェクトでは、作家へ作品発表の機会を提供すると共に、地域住民がアートに触れる機会を設け、アートを通して地域の魅力を再発見する機会となること、参加者間で今後に繋がる様々な交流が生まれることを目指します。

企画の経緯

「町屋ギャラリー薩摩屋」は、2009年の新潟市「水と土の芸術祭」の地域プロジェクトの一環で改修を行い、以降、まち歩き等のイベント時に不定期に開館することとなりました。

2012年4月からは土・日・祝日に、地域の情報発信拠点として開館する体制が整えられ、同年開催された新潟市の「水と土の芸術祭2012」では、南条嘉毅氏の「信濃川」の展示会場となりました。南条氏と地域住民とが交流する機会が生まれ、展示公開中は地域住民で入場者への対応等を行うなど、運営をサポートしました。

薩摩屋を管理・運営する小須戸小学校区コミュニティ協議会薩摩屋企画委員会(当時)では、こうした芸術作品を中心とした交流の機会を、今後も継続して設けたいと考え、同じ秋葉区内の「新潟市新津美術館」と連携したプロジェクトとして企画しました。


参加アーティスト

鈴木 泰人

1979年生まれ、神奈川県出身。2011年、多摩美術大学大学院修了。中之条ビエンナーレ2011、2013(群馬県)等に出品。平面の絵画作品のほか、映像作品「走馬灯」(文化庁メディア芸術祭京都展2011優秀作品)や照明を使ったインスタレーション「tomosuプロジェクト」など、ジャンルにとらわれずに幅広く制作活動を進める。

橋本 直明

1982年生まれ、三重県出身。2009年、東京造形大学大学院修了。平面の絵画作品に加え、一見すると軽い、チープな素材を組み合わせ新たな意味を持たせるインスタレーションも展開。中之条ビエンナーレ2013(群馬県) のほか、新潟では西区DEアートfinal(2009)、2012ニイガタオフィス・アート・ストリート(2012)等に出品。

南条 嘉毅

1977年生まれ、香川出身。2002年東京造形大学研究科修了。2011年ジパング展、中之条ビエンナーレ2011、2013(群馬県)、奥能登国際芸術祭2017(石川県)などに出品。「土」そのものを素材としてフィールドワークを基にした風景画やインスタレーション作品を制作。水と土の芸術祭2012では薩摩屋を会場に作品「信濃川」を展示公開。

※プロフィールは当時のものです。


展示作品

町ノ灯 / 鈴木 泰人

会場:町屋ギャラリー薩摩屋

公開:2013年11月3日、4日、9日、10日、16日 午後1時~午後8時

​灯りの明滅に合わせ、浮かんでは消える「町」の色

「灯り」に着目したインスタレーションを制作してきた鈴木泰人。
作品「町ノ灯」は、インクで小須戸のイメージを描いた幅約2m、長さ10mの綿布で二階を覆い、布と壁の間に仕込んだ電球の明滅に合わせてイメージが浮かんでは消える、幻想的なインスタレーション。「町屋の持つ陰をうまく引き出したい」との考えから、灯りの効果がより引き立つ夜間まで公開を行った。

古民家を点滅させれば、作品は町の灯台になる
鈴木は薩摩屋の「地域の情報発信・まち歩きの拠点」としての位置付けを踏まえて、薩摩屋全体を地域の「灯台」に見立てたという。日が沈み周囲が暗くなる頃には、外からも薩摩屋の灯りの明滅がはっきり観え、展示の目印となった。

鈴木泰人展 / 鈴木 泰人

会場:新潟市新津美術館市民ギャラリー

公開:2013年11月12日~17日 午前10時~午後5時

​光と陰をコンセプトに、様々な場所に点く灯りを表現してきました。
今回、新津美術館で展示させて頂いた作品の多くが、その土地を照らす灯りとなる場所を取材しイメージをドローイングとして葉書サイズに描き起こしては、平面作品に置き換えたり、空間作品に置き換えたりする作業を基調とし制作を進めてきました。

作品のサイズが大きかったりするのは、その土地の光を出来るだけ多く受け止める為です。より沢山の色を、観る人の眼の中でさらに膨らませてもらい、広がりのある想像を、形にとらわれずにしてもらいたいと思います。

小須戸の薩摩屋での展示もまた、町屋全体を町の灯台として見立てて色鮮やかな表現を行いました。灯りの持つ温かさで、町屋の片隅で照らすことで、新たな気付きや繋がりを得られるきっかけになればと思います。

制作意図 ‐作家の言葉より‐

残像 / 橋本 直明

会場:町屋ギャラリー薩摩屋

公開:2013年11月23日、24日、12月6日~8日 午前11時~午後6時

​約3週間に渡って薩摩屋に滞在し、作品を制作した橋本直明。

橋本は制作にあたり、町のすぐ傍を流れる信濃川沿いの風景や音、映像を採取する等の取材をし、成果が作品へと反映された。また、滞在中に作品の更新を続け、展示前半と後半とで作品が変化し、前半と後半の2度楽しめる展示となった。

作品「残像」の紹介は、2013年12月16日の新潟日報文化面に掲載の「町屋と住民 芸術がつなぐ」の記事から、以下に引用する。

– 展示内容は垂木、ベニヤ板、塩ビ版、養生シート、AV 機器を用いたインスタレーション。まず会場に佇んでいると柔らかな日の光が目に入る。その光を引用し床を川に見立て表現し、垂木で作り上げた構造物に白黒出力された紙を貼りつけ配置して、その中に町の喧騒や川の流れを音に変換して展示空間に落とし込んでいる。町屋の風情を残しているこの薩摩屋が、橋本の作品を通して鑑賞するとまるで異次元に迷い込んだような錯覚を覚える。この事実は、橋本が地域資源に丁寧に寄り添った証でもあり、作品のダイナミズムにもつながっている‐

THE SOFTEST TOILET PAPERS / 橋本 直明

会場:新潟市新津美術館市民ギャラリー

公開:2013年11月19日~24日 午前10時~午後5時

​私は、デザイン化され、完成されたフォルムを作品に投影し、昇華させることを目指しています。
今回の作品では、普段廃棄されがちで安っぽさすら感じさせるトイレットペーパーを採用しています。
私は、それらを必要以上に企業側がデザインした柄やキャラクター、そして匂いまで吹き込んであるトイレットペーパーは、もはや排泄物を単純に処理するというところから離れて鑑賞に近いと感じ、それらを一つのフォルムとして観せればと思い、制作しました。

使用したトイレットペーパー
●ドキドキ!プリキュア
●獣電戦隊キョウリュウジャー
●ハローキティ
●リラックマ
●ひのきの香り
●フレグランス

制作意図 - 作家の言葉より-

関連イベントなど

土絵具と小須戸縞でつくるMyタンブラー
制作ワークショップ / 南条嘉毅

会場:町屋ギャラリー薩摩屋

日時:2013年10月13日 午後1時~午後4時

「土」そのものを素材としてフィールドワークを基にした風景画やインスタレーション作品を制作している美術家、南条嘉毅。芸術祭での縁から、プレイベントとして講師に招き、オリジナルの”Myタンブラー” 制作ワークショップを開催した。

南条は2012年の芸術祭の折に小須戸を訪れ、地域の歴史や文化、とりわけ地域の伝統織物で、現在生産が途絶えてしまっている「小須戸縞」に興味を持ったという。ワークショップではその「小須戸縞」に注目し、” 小須戸縞の新たな模様をつくる” をコンセプトとした。ワークショップ冒頭では職人が” 縞” の説明を行い、参加者が常に本物の” 縞” を確認できるよう縞帳の写しも展示した。

参加者は南条の制作において特徴的な「土絵具」の制作とそれを使った着色、「小須戸縞」の端切れのコラージュを体験し、それぞれ個性ある「Myタンブラー」を制作した。

ワークショップの後は薩摩屋の二階座敷へ移動。小須戸銘菓「おか免菓子」や豆菓子をいただきながら、完成したタンブラーでお茶を飲む、小須戸尽くめの贅沢なひととき。南条と参加者、老若男女で会話も弾んだ。

tomosuプロジェクト
パフォーマンス「花ノ灯」

会場:町屋ギャラリー薩摩屋

日時:2013年11月16日 午後6時~7時

出演:【音】ムネ コムロ 【詩】久世 孝臣 【間】鈴木 泰人