水と油の芸術祭2018
-秋葉区民が仲良くする方法を秋葉区民と考える-
会場:町屋ギャラリー薩摩屋、うららこすど、梅ノ木揚水機場公園 他
会期:9月1日~10月8日
主催:小須戸コミュニティ協議会
ごあいさつ 水と油の芸術祭ディレクター 深澤 孝史
みなさんこんにちは。
この度、新潟市秋葉区にて「水と油の芸術祭2018」が開催される運びとなりました。
水と油の芸術祭は、お気付きの通り水と土の芸術祭にかかっておりますが、それだけではありません。水と油は、信濃川の舟運で栄えた「小須戸(水)」と、日本屈指の油田と鉄道の街として栄えた「新津(油)」のことを指し示しています。全く違う性格で、生活圏も異なる二つが、2005年に新潟市と合併し、2007年からは政令指定都市となり秋葉区として一つの区になったのです。そんな秋葉区で開催する小さな芸術祭であります。
第1回目の芸術祭のテーマは、「秋葉区民が仲良くする方法を秋葉区民と考える」です。秋葉区民の皆さんは区民になって、誰しも日が浅く、合併前の暮らしが基本的にはそのまま続いていることが多いので、滅多なことでは秋葉区民という自覚を持つことはないかもしれません。ある意味、行政の都合で人口的に区分けされた区分を、生活実感として自分に落とし込むのは簡単にできることではないと思います。しかし、秋葉区になってから新しく移住された新秋葉区民や、結婚して途中から秋葉区民になった方など、元々の地域コミュニティに属さない層にとっては秋葉区民というアイデンティティはこれからますます重要になってくるように思います。
秋葉区という枠組みになったけど、実は他者同士であるということをまずは意識しあうことが大事なのではないか、未来の秋葉区に種を蒔くことになるのではないかと考え、このようなテーマ設定にさせていただきました。
ほんのささやかな実践ではありますが、みなさんとともに考えていけたら幸いです。
深澤 孝史
※水と土の芸術祭2018市民プロジェクト採択事業
本プロジェクトは水と土の芸術祭2018地域拠点プロジェクトに採択され、実行委員会の助成金を受けて実施しています。
参加アーティスト
深澤 孝史
美術家。1984 年山梨県生まれ。場や歴史、そこに関わる人の特性に着目し、他者と共にある方法を模索するプロジェクトを全国各地で展開。最近の主なプロジェクトは、《かみまちハーモニーランド》(2018、TURN LAND)、《神話の続き》(2017、奥能登国際芸術祭)、《常陸佐竹市》(2016、茨城県北芸術祭)など。
※プロフィールは当時のものです。
展示作品
水と油の芸術祭出展作品は、秋葉区民からのインタビューを通して、仲良くするための方法として構想されたものとなっています。
1 秋葉区について区民の思い
様々な背景をもつ秋葉区民に秋葉区についての思いを話してもらう。
秋葉区での生活や、秋葉区の未来についての課題など赤裸々に語られていく。
このインタビューを通して様々な作品が構想されていく。
会場:うららこすど 取材協力:秋葉区の皆さま
2 秋葉区のテーブル
小須戸コミュニティ協議会の元事務局長であり、小須戸商店街にて住吉屋寝装店を経営する村井さんが人生で最も大きな出来事の一つが、小須戸商店街の空き店舗だった薩摩屋をコミュニティスペースとして開くことができたことだ。
そこに秋葉区の形をしたテーブルを置く。様々な区民がこのテーブルで話し合い、未来の秋葉区を考えることを期待する。
会場:町屋ギャラリー薩摩屋
3 秋葉区民すごろく
秋葉区民の皆さんからお話を伺うと、やはりそれぞれ驚くような人生を歩んでいることが多い。
秋葉区民の特性をあえて方向づけるのではなく、様々な人のエピソードを追体験することで多様な区民像に思いを馳せることが、本当の秋葉区の区民度をあげることになるのではないだろうか。同時に、未来の区民像を想像することも大事にしたい。
会場:町屋ギャラリー薩摩屋
4 秋花島
秋葉区は新津市と小須戸町が合わさってできた区であるが、新津でも小須戸でもない第3の土地を創造することで、どちらでもないフラットな秋葉区が生まれるのではないかと考えて作ったその模型のようなもの。いつか信濃川に浮かんでいる姿を眺めたい。
会場:町屋ギャラリー薩摩屋
5 境界の記念樹…イベント1 参照
6 自分の町のいいところを誰かに紹介する手紙を書く
秋葉区民は自分の町に対する思いが熱い人が本当に多い。自分の町を愛している人が多い。しかしそれだけでは秋葉区はまとまらない。
お互いの町を知り合って、認め合うことで本当の意味で区のコミュニティの基盤ができてくるのではないだろうか。
そのようなことを考えて、手紙を交換できるポストを置いてみる。
会場:町屋ギャラリー薩摩屋
7 油水で木花を育てる
小須戸は花木園芸の産地として全国的に有名で、日本一のボケ公園がある地域でもある。
一方新津は、明治期に本格的に石油の採掘が始まり、1996年に閉山した油田ががある街で、未だに近隣の川の水や温泉には油が混じって流れている。その新津で汲んで来た油水で小須戸の花を育ててみる。
会場:うららこすど
イベント
イベント1 境界の記念樹(作品5) 植樹祭
小須戸縞の職人のだった長井さんは自転車で新潟市を巡るのが日課だ。
長井さんはいつも景色とともに普通の人の暮らしや、失われていく景色に思いを馳せている。長井さんは、もっと秋葉区に記念碑があるといいんじゃないかと話す。
秋葉区になってなくなった新津市と小須戸町の境界。今はまだ、その境界が肌感覚で住んでいる人の中に残っているが、数百年後にはその境界は完全になくなっているかもしれない。
両方の町の花だったサツキツツジは樹齢300年のものも咲いている地域がある。記念樹はサツキにしよう。数百年後のためのサツキの記念樹を植える。
■日時 9月30日(日) 午前11時~ 11時30分
■会場 梅ノ木揚水機場公園
2 秋葉区民会議 &区民の懇親会 in 薩摩屋
秋葉区のテーブルを囲んで、区民の皆さんとともに秋葉区民が仲良くなるための方法を一緒に考えます。アイデアは、水と油の芸術祭の出品作品となります。
■日時 9月30日(日)
午後3時~5時(秋葉区民会議)
午後6時~9時(区民の懇親会)
■会場 町屋ギャラリー薩摩屋
地域拠点としての取り組み
水と土の芸術祭2018では、「区内の市民プロジェクトの広報・連携の核となる拠点を設け、市民プロジェクト間やアートプロジェクトとの連携を図る体制を整え、アートを活用して地域の課題に取り組むもの」を、市民プロジェクトの中でも地域拠点プロジェクトとして採択し、補助しました。
水と油の芸術祭2018は、この地域拠点プロジェクトとして採択・実施したものです。
プロジェクト以外でも、町屋ギャラリー薩摩屋と秋葉硝子は、地域拠点プロジェクトの「地域拠点」として、秋葉区の魅力を発信するために連携を図りました。また、中央区の地域拠点「礎窯」と連携したワークショップも行いました。その取り組みを紹介します。
町屋ギャラリー薩摩屋×秋葉硝子
風鈴組み立てワークショップ
秋葉区新津のガラス工房「秋葉硝子」のクリスタルガラスの風鈴傘に小須戸縞の短冊を組み合わせて風鈴を制作しました。
■日 時 7月8日(日) 午前10時~、午後2時~ 各回1時間程度、計2回
■会 場 町屋ギャラリー薩摩屋
■参加者 18名
町屋ギャラリー薩摩屋×礎窯
礎窯出張作陶体験
新潟市中央区で活動している地域拠点プロジェクト「礎窯2018 ONE MORE CUP STORY」の出張作陶体験を行いました。
■日 時 8月5日(日) 午前10時~、午後2時~ 各回1時間程度、計2回
■会 場 町屋ギャラリー薩摩屋
■参加者 12 名
秋葉硝子「風鈴市」実施と合わせた
薩摩屋での風鈴展示
秋葉硝子のプロジェクトの一環で、7月27日(金)から30日(月)にかけて新津商店街や堀出神社で風鈴市が開催されました。風鈴市を小須戸地域・新津地域で協力して盛り上げるために、町屋ギャラリー薩摩屋でも風鈴の展示・販売を行いました。
■日時 7月28日(土)、7月29日(日) 午前10時~午後4時
■会場 町屋ギャラリー薩摩屋
秋葉区内市民プロジェクトの
広報連携
秋葉区内の4つの市民プロジェクトを合同でPRするウエブサイト「秋葉区合同PRページ」を立ち上げた他、区内か所の地域拠点を中心に過去作品やスタンプラリーポイントも含めた区内の芸術祭関連情報をまとめた「秋葉区市民プロジェクトチラシ」を制作、配布しました。